インバウンドのターゲット設定

訪日客へのマーケテイング活動やインバウンド対策において、どの地域をターゲットとするかは、通常の日本人を対象としたマーケティング活動でのターゲット設定よりも重要になります。

そこで、中華圏3地域(中国・台湾・香港)について考えてみます。中華圏は地理的に日本に近く、訪日客全体の半数はこの地域からで、もっとも有力なターゲットであることは間違いありません。中華圏3地域をひとくくりで考えてしまうこともありますが、各地域の特徴について考えてみたいと思います。

◆中国
決済:銀聯カード、WeChatペイ(微信支付)、アリペイ(支付宝)
SNS:微信、微博、QQ
メディア:YOKA、iEVER、Only lady
検索エンジン:百度、Sogou、360

◆台湾
決済:クレジットカード、現金
SNS:LINE、Facebook、Instagram
メディア:女人我最大、恰女生、C Chanel
検索エンジン:Google、Yahoo! 奇摩

◆香港
決済:クレジットカード、現金
SNS:WhatsApp、Instagram、Facebook
メディア:ViVi香港版、Cosmo girl、Theztyle.com
検索エンジン:Google、Yahoo! 雅虎香港

中国は、あらゆる規格で独自性が強いことに特徴があります。それはインターネットもそうですし決済もそうです。中国に対して何らかの施策を考える場合は、我々になじみが薄い特別な対応が必要になることが多いです。また、社会の発展・変化のスピードが非常に早いため、消費者のニーズも移ろいやすい傾向にあります。

台湾・香港は、早くから発展していた地域なので、比較的安定的で成熟していて、感覚としては日本人に近いものがあります。モバイル決済はあまり盛んではなく、WeChatペイやアリペイも使われません。香港はHSBC銀行のキャッシュカードに付帯する国際ATMネットワークがPLUSから銀聯に変更されたため、銀聯マークのキャッシュカードを持つ人がかなり多くなりましたが、台湾は銀聯もありません。なお両地域とも、国際クレジットカードが普及しています。

言葉の面では、中国は北京語(普通話)が全土で使われていて字体は簡体字です。香港と台湾では、字体は同じ繁体字ですが完全一致ではありません。話し言葉は台湾では北京語(国語)ですが、中国本土と違う言い回しが多いです。香港では日常では広東語で北京語とは全く異なりますが、北京語もだいぶ普及しているため、北京語が通じると捉えて問題ないでしょう。また香港は英語を使える人も多く、香港人同士でも英語でビジネスメールをやり取りしていることもあります。

メディアは、上記リストはF1層として仮定したものです。日本にある中文メディアも悪くないですが、中国・台湾・香港のそれぞれ現地の編集部で現地のいまの感覚で運営されているメディアの方がよりベターと思われます。現地に根差しているので、メディア外での波及・相乗効果、現地感覚のリアルタイム性、読者とのリレーションなどの面で現地メディアに分があります。なお、中華圏3地域すべてをまたいで発信できるようなメディアは、あるのかもしれませんがインバウンド施策の中では聞いたことがありません。

このような各地域別の特徴から、インバウンド対策と称して、facebook運営を強化し店頭では銀聯やWeChat対応を行ったり、微博運営で中華圏全体からの集客を狙う、などの施策には矛盾が生じていることがわかります。これは単純すぎる例ですが、あらゆる場面でこのようなことは起こりうる話です。中華圏といっても中国・台湾・香港の各地域での差は相当あります。訪日旅行での感じ方にも違いはあり、満足度や再訪意向でも地域の傾向はあります

企業のマーケティング活動は、来てもらうこと、買ってもらうこと、再訪または口コミしてもらうことなどの各ポイントでの達成目標があり、目標に沿ってそれぞれの場面で何かを行っていきます。「だれに向けて」を明確にすること(ターゲットを決めること)が矛盾なき施策につながり、ターゲットが決まればおのずと「何を」「どのように」という具体案が決まり、「いつ」「いくら」の軸を加え優先順位を決めていく、これが抜け漏れのないインバウンド対策の考え方です。

ターゲット決めから始まるのがインバウンド対策で、そのため通常の日本人向けのマーケティング活動におけるターゲット決めより重要と思われる所以はここにあります。センターピンである「だれに向けて」を考えていき、効率的なインバウンド対策を行いたいものです。

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